日本で一番売れているクルマはなんでしょう?
みなさんはいま日本で、もっとも売れている乗用車が何かご存じですか。トヨタのアクアやプリウス、ホンダのフィット、日産のノート、あるいはよく見かけるレクサス?とお答えになる人も多いでしょう。確かにクルマの種類は数えきれないほどあるので、わかりにくいかもしれません。そこで、2018年4月の車名別新車販売台数ランキング上位10車を調べてみると
1位:N-BOX(ホンダ/軽自動車)
2位:スペーシア(スズキ/軽自動車)
3位:ムーヴ(ダイハツ/軽自動車)
4位:タント(ダイハツ/軽自動車)
5位:アクア(トヨタ)
6位:ワゴンR(スズキ/軽自動車)
7位:プリウス(トヨタ)
8位:ノート(日産)
9位:ルーミー(トヨタ)
10位:デイズ(日産/軽自動車)
(※新車販売台数速報(2018年5月8日付)/日本自動車販売協会連合会、および全国軽自動車協会連合会)
という結果に。なんと上位車種の半数以上が軽乗用車なんですね。道理であちこちで見かけるはずです。ちなみに全国の軽自動車数は2018年4月末時点で3,000万台以上。そのシェアは自動車総保有台数の4割近くを占めるそうです。つまりそれだけ、軽自動車が絶大な支持を得ているという証拠でしょう。もしかすると、みなさんのクルマも軽自動車かもしれませんので、今回はこの軽自動車の歴史や規格、特徴などを解説します。
軽自動車は日本だけの特殊な規格。
軽自動車はコンパクトでスタイルも良く、車庫入れや狭い道でも運転しやすいうえ、ひと昔前まではハイクラスのクルマにだけ採用されていた仕様やシステムが装備されることが多くなってききました。さらに税制面での優遇、維持費の安さ、燃費の良さなどが受け入れられ、とくに初心者や女性ドライバーの人気を定着させています。軽自動車は日常生活の足であり、セカンドカーとしても便利な乗り物。近頃は環境面への配慮から、コンパクトなクルマの需要が世界的に高まっています。このことから、軽自動車は世界中で普及していると思いがちですが、残念ながらそうではありません。なぜなら軽自動車の規格は日本独自のもので、海外では販売されていないからです。ごく一部の車種は輸出されているものの、ほとんどは車両サイズやエンジンが変更されているため、厳密には軽自動車とは呼べないのです。どうです、ちょっとびっくりでしょう?
時代とともにワイド化していった規格。
ところで、日本で軽自動車の規格が誕生したのは1949年のことでした。戦後間もない頃で、まだまだ「モータリゼーション」は遠い未来だったことから、国民が気軽に自動車を所有できるようにと制定された規格でした。しかし当時はサイズや排気量などの規格が非常に厳しく、何度かの改定が行われました。その結果、ホンダN360やスバル360などの人気車が生まれたのです。1976年には、排ガス規制などの影響で排気量が550cc以下に変更されてワイド化が実現。車体価格や税制面での優遇などが幸いして、空前の軽自動車ブームが起こりました。
その後、コンパクトで経済的な軽自動車は、商用車としても一般乗用車としても大いにもてはやされ、私たちの日常生活にも深く関わってきます。そして1998年には、現在の軽自動車の規格(全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下、排気量660cc以下)へと変更されました。軽自動車は限られた排気量とサイズの中で、各自動車メーカーが技術を競い合い、最新のテクノロジーや機能を詰め込んだすぐれたクルマへと進化を遂げてきたのです。
次の購入時の選択肢に加えたい軽自動車。
このように、サイズと排気量がアップした軽自動車は、普通車と同じ衝突安全基準が採用されていて、衝撃を分散・吸収するボディ構造を備えた車種も増えてきました。シートベルトのプリテンショナー(衝突した瞬間にベルトを引き込んで身体を固定する機能)、フォースリミッター(胸への衝撃を緩和する機能)など安全対策も図られています。また、高速道路上での最高速度制限も普通車と同じ速度に引き上げられました。こうしたことを背景に、ハイトワゴンタイプやSUVタイプ、オープンカー、ハッチバック&セミトールワゴンなど、じつにさまざまなバリエーションのモデルが展開されるようになってきました。いま現在、新車で購入できるモデルの数は60種類以上あるとか。もはや軽自動車は、ちょっと狭くて頼りなく、非力なクルマというかつての認識はなくなりました。もしみなさんが今後、新車購入や買い替えを考えているのなら、その選択肢のひとつに軽自動車を加えてみてはいかがでしょうか。