あなたは夏も冬も、タイヤは同じサイズ?
冬の足音が近づき、これから長い雪の季節が始まろうとするとき。北海道に住むクルマのオーナーなら必ずやるべきことがあります。そう、夏タイヤからスタッドレスタイヤへの交換です。腰が痛いわぁとブツブツいいながらも自分でやる人、いつも利用しているカーショップやガソリンスタンドに頼む人、信頼しているクルマの販売会社や整備工場まかせの人まで、交換のやり方はさまざまでしょう。ところでスタッドレスタイヤを夏タイヤと違うサイズで履いている人も多くて、交換時期にはよく話題になります。
そもそも、それぞれのクルマには各メーカーが定めた純正のタイヤサイズというものがありますが、ドライバーの中には、外見のドレスアップや走行性能、乗り心地、コスト面、燃費などさまざまな理由から、あえて純正のサイズではないタイヤを装着している人がいます。この場合、タイヤサイズを大きくすることをインチアップ、逆に小さくすることをインチダウンと呼びます。
インチアップ・インチダウンをする意味とは?
インチアップ・インチダウンとは、タイヤの外径(外側の大きさ)はそのままに、タイヤの扁平率を変えることでホイールの直径(リム径)を大きくしたり小さくしたりすることをいいます。一般的にインチアップするとタイヤ幅は広くなり、インチダウンするとタイヤ幅は狭くなる傾向にあります。Hondaのフィットを例に挙げましょう。スポーツタイプやSグレードでなければ、タイヤサイズは「185/60R 15」が標準。つまり幅が185㎜で扁平率60%の15インチタイヤです。これを「175/70R 14」のように小さくすることをインチダウンといいます。よく、タイヤサイズを標準以外のサイズに変えて問題ないの?という質問を受けますが、車両保安基準で決められたルールを守っていればOK。走行に問題はありませんし、車検も通ります。
近年は軽自動車でも扁平率50%を切る「低扁平タイヤ」が多く出回るようになりましたが、インチアップするとクルマの足もとがシュッとしてかっこ良く見えるものです。またタイヤ幅が大きくなって接地面積が広くなるので、中高速域でのハンドル操作が安定します。さらに路面に対するグリップ性能やコーナリング性能が高くなるといったメリットがあります。一方で、ロードノイズ(タイヤから発する騒音)を拾いやすくなるという欠点もあります。
インチダウンのメリット&デメリット
さて、話をインチダウンとスタッドレスタイヤに戻しましょう。冒頭でもふれましたが、夏タイヤは純正サイズ、もしくはインチアップしておき、スタッドレスタイヤはインチダウンするというオーナーは結構多いです。インチダウンのいちばんのメリットは乗り心地がマイルドになること。これは扁平率が高くなってタイヤに厚みが出るためです。タイヤの幅が狭くなると接地面積が減って滑りにくくなるので、雪道での走行性能がアップします。またタイヤ幅が狭い分ハンドリングが軽くなることや、轍(わだち)にハンドルを取られにくくなるといったメリットも生まれます。それにホイールサイズ(インチ)を小さくすると、基本的にタイヤの値段が安くなります。それがよく出回っているサイズなら、ホイールとセットで安く購入できるかもしれません。
反対にデメリットは、偏平率が高くなってタイヤ幅が狭くなるので、見た目が地味になること。またタイヤの接地面積が減ると接地圧があがるのですが、それがアイスバーンなどではグリップ性能が落ちてしまうこともあります。インチダウンは、こうしたメリットとデメリットの両方をよく確認して行うべきでしょうね。
インチダウンで注意しておきたい点
たとえばスタッドレスタイヤをインチダウンするのであれば、いくつか注意点があります。1つ目がタイヤの外径(タイヤ全体の直径)を変えないこと。インチ変更に伴ってタイヤの外径まで変えてしまうと、タイヤが車体と接触してしまうとか、スピードメーターに誤差が生じることがあります。場合によっては車検に通らないこともあるので要注意。2つ目が、取り付け可能なホイールサイズであることを確認する。たとえ同じ車種でも型式・年式・グレードによっては適合するサイズが異なる場合があります。タイヤショップに行く前に、それらをよく確認しておきましょう。3つ目がロードインデックスを確認すること。ロードインデックスとは、タイヤ1本で支えることのできる最大負荷能力のことです。クルマには必要なロードインデックスが決められていて、これを下回ると車検時に通らないこともあります。
タイヤメーカーによっては、タイヤサイズを変更する際に外径を維持してのインチ変更の計算ができる公式サイトを持っているところあります。具体的な話を聞きたいなら、大型のカーショップのスタッフが詳しいと思うので相談してみるといいでしょう。あなたのクルマにピッタリ合った、好みのタイヤが見つかることを願っています。